48歳のお嬢様
「あの、つかぬことをお伺いしますが、
私とこの彼は、どういう訳で夫婦に見えるのでしょう?
年齢的なものでしょうか?」


「雪恵様、その質問は……下世話過ぎるかと存じますが…」


「いいじゃないの、何度もそう思われて来たのだし…和樹も理由が知りたくない?」


「それは…そうでございますね」


「理由なんて……ねぇ、おとうさん、一目瞭然だわよね」


「そ、そうだな…。
会話の違和感はたしかにあるけれど、パッと見て、知らなければそう見えるかと」


「あと、御主…じゃなくて執事さんが、奥さ…じゃなくてご主人様?のことを大事にしているのが、ねぇ……」


「執事というものは主人に忠実に仕えるものでございますゆえ、
私が幸恵様を大事にするのは当たり前のことでございます」


「でもねぇ……そういう、主従関係とは別な感じがするのよね……。
でも、あまり首を突っ込み過ぎると、またうちのおとうさんにお節介だって怒られるから止めとくわね」


「あら……首を突っ込み過ぎて頂いても構いませんのよ?
お聞きしたいと申し上げたのは私の方ですもの」


「そう?じゃあね、
今ちょっと見ただけでもお二人、息がピッタリよ。
きっと執事さんが合わせてるんでしょうね。
ご主人様のほうは、ここ、初めてだって聞いたけど、
何度も来ているみたいにずいぶん寛いで楽しそうじゃない?
執事さんがいるから安心なんでしょう?

そんじょそこらのカップルには無い信頼関係よ。
だから仲の良い熟年夫婦のような愛情を感じてしまったわけよ。

あ、うちもそうだけどね…あはは。
……ねぇおとうさん?」


「あ?あぁ、うん…。
いや、申し訳ありません家内がズケズケと」


「いいえ、ありがとうございました。
大変、参考になりましたわ。ねえ?和樹」


「はい、さようでございますね。
実に的確で率直なご意見です」





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