BLUE SUMMER



「まだ小4だっていうのに、可哀想にねえ。」


仏壇の前で呆然としている私をよそに、親戚のおばさんたちが身勝手に口にした"可哀想"という言葉。


それを言うなら私を引き取ってよ。

私を大切に育ててよ。

私は彼女たちにきっ、と睨みをきかせた。



「はあ。」


私はこの場にいるのが嫌になって、ため息を吐きながら立ち上がった。


どてどてと足音を立てながらおばさんたちの間をわざわざ通って外に向かう。



「あ、羽海ちゃん!どこに行くの?」


そしたらおばさんたちが声をかけてきたから、私は反抗期丸出しの顔をしてゆっくりと振り返って、



「どっかあんたたちと一生顔を合わせないで済むところ。」


そう言って、外へ出ていった。




…何が可哀想だよ。

無神経すぎるんだよ。



どうせ今頃、私の悪口言って。


母親があれだから。
家族がいないから。


そんな理由にかこつけて私をのけ者にする。





…だから嫌なんだ、こんな町。


この町には私の嫌いな人がいっぱいいるから。




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