ルームシェア
お鍋の中身ももう少なくなり、宝生さんが買って来たビールもなくなって、お腹もいっぱいになって、何となく夕食の宴が終わりを告げる。
それとなくテーブルの上の空いたお皿を重ねていると、手元に強烈な視線を感じた。
「え?」
その視線は目の前に座る凌介さんから注がれたもので、私がその視線に気が付くと少しだけ罰悪そうにふっと目線をずらした。
なんだったんだろ?なんて思いながら、また一旦止まってしまった手を動かし出すと、視線はすぐにまた手元に戻って来た。
「あ、ごめん棗。後は私やるから棗は休んでて」
トイレから戻って来た結が私の隣に立つ。そして、さっと私が重ねたお皿を手にした。少し躊躇っていると、「とにかく、今日は疲れたでしょう?」と私を椅子に座らすように促す。
私はおずおずと結に従い腰を下ろした。
「棗ちゃんは料理出来るの?」
「えーと、まぁ、それなりに」
椅子に腰を下ろすと、直ぐに凌介さんが話し掛けてくる。結はお皿を抱えキッチンに向かい、宝生さんはちょっと前に席を外したまま、だからここには私と凌介さんしかいない。