君が好きになるまで、好きでいていいですか?

「……………沢村さん、ちゃんと食べてる?」


「へっ? はい………」


「そう? あ、いやなんか腕細いから」

うでぇ………?

視線を落として、言われた自分の右腕を掴んでみる


会社の夏服は、袖は半袖のものと、七分袖のものがあって、万由が着ているのは七分袖の方

袖から見える腕の部分は手首の少し上まで

ここ最近暑さのせいで食が細くなったのは確かだけど…………
それに、つい考え込んで全部食べられない事もあるから、もしかして少し痩せたかもしれないげど………


「………………ちゃんと食べてます。課長こそ、顔色悪いですよ。ちゃんと休んでるんですか?
高石さん心配してました、仕事のし過ぎで倒れるかもって」

「高石が?」

「ええ、抱え過ぎだって………」

確かそう言っていた。
正面で後藤を見上げるように目を合わすと、フィッと今度は彼の方が目を逸らした


「…………高石とは仲いいんだな」


「えっ?」

ボソリと言った後藤の呟きがよく聞き取れないまま、エレベーターは指定ボタンの階について扉が開き、後藤は出ていった


「なに………?」



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