君が好きになるまで、好きでいていいですか?



そして、その広めの待ち合いスペースに万由と後藤の二人だけになった


「…………」


黙って浅野がいた万由の隣に座った


え…………座るの?!

「席に戻らなくていいんですか?課長がいなくなるときっと山吹さん達が捜しにきますよ………」


嫌なわけじゃないのに、なんか緊張して頬を無理に上げてそう言った

「向こうに行ってほしい?」


そう言われて、思わずぶんぶんと首を振った

真っ直ぐ視られると思わず目を逸らしてしまう


「………沢村さん、訊いていい?」

俯く万由の顔を覗き込む

「はい………?」


「今日、飲み会の後予定ある?」

「いえ……」

「彼は………向かえにこないの?」


「…………もう別れましたから」


「…………そっか」


きっと、他の人から聞いたかもしれない……
そんな感じの彼の受け答えに、一瞬ムッと胸が詰まった


「でも………課長が言ったみたいにその後、前にも進めていませんけど私」


「え?」

俯いたままの万由の方に、身体を向けるように視線を落とす後藤


「話したら前に進めるって言ったのに、全然止まったままで………毎日何やってるんだろうって思うばっかりで」


慧ちゃんと別れてからなかなか時間が進まない
寂しくなっただけで、大きな穴が開いて埋められない…………

どうしたらいいか分からないまま
こんな事、愚痴ってたりして
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