君が好きになるまで、好きでいていいですか?
やっぱりこの前の琉成君への態度と会社でのギャップには思わず笑いが止まらない
肩を揺らして笑う万由の頭にふわりと大きな手が乗った
「…………君はやっぱり頭がいいから分かっちゃったんだろうね、僕と環たちの関係」
一瞬、万由の息が止まる
「…………」
「あの人は、すぐ余計なことを話してしまうから。自分の事なのに……」
そう言って溜め息をついた
たぶん、環さんも心配なんだと思う
主任が会社でどう思われているか………
「私、他に言ったりしません」
浅野の顔がフッと優しくなって
頭に置かれた手がクシャクシャと髪の毛を掻き回す
「…………こんなとこで何やってるんですか?」
上から声がして、顔を上げると微妙に眉を歪ませた後藤がいた
「あ……………」
頭に乗ったままの浅野の手をハタくように彼が払い除けた
「何って、二人だけの内緒話に決まってるだろ、ねっ万由ちゃん」
さっきの表情と違って、なんかいじめっ子みたいな主任のにやけ顔
内緒話っちゃあ内緒話なんだけど………
楽しそうな浅野に対し不機嫌そうな後藤
「…………」
「あっ、悪いっ電話だぁ」
急にその場を立って、胸ポケットにある携帯を取り出した浅野が、万由に一つウインクをして電話を片手に外へ出て行った
「えっ…………主任?」