君が好きになるまで、好きでいていいですか?

ミーティングルームを出て、デスクに戻ると、すでに定時を過ぎていて
歩美さんや事務の女子達はもう、制服を着替えるためロッカールームへ行ってしまっていた。

万由も、急いで片付けをして、ロッカールームに向かった

「…………総合職かぁ」

やっぱりピンとこない。まず自分で考えてと言われたが、そんな思考材料がない。
ここは歩美さんに相談してから考えた方が楽なような気がする



なんとなく頭を抱えながら部署をでると、廊下の向こう側から後藤がこちらに向かって歩いてきていた

屋上で名刺を返して以来、そう言えば朝も来ないし、それから顔を合わすのは初めてだ。



万由は、すれ違う前に軽く会釈をした


え…………あれ?


「浅野先輩っ」


後藤はそのまま、まるで万由が目に入らなかったかと思うように通り過ぎ、その先にいた浅野主任に手を振って呼び止めた


「……………」


通り過ぎたその後ろから浅野主任と後藤の談笑する声が聞こえた


ま、そりゃそうだよね………


再びロッカールームを目指していくと、その前ですでに着替えを済ました歩美と、数人の企画部女子事務員たちの固まりがあった。

「どっか行くんですか?」

輪の中にいる歩美に話し掛けた


「万由、遅かったね。何言われてたの?
まさか、セクハラされてたんじゃ無いでしょうねぇ」

冗談半分にいきなり言うことか?

「違いますよぉ。ちょっとこれからの仕事の事で………歩美さん話できます?」


そう言って引き留めていると、他の先輩達が歩美を呼んだ

< 49 / 333 >

この作品をシェア

pagetop