それでも君を愛せて良かった
僕は自分で作ったものを身につけたファビエンヌを想像しただけで、胸が熱くなった。
きっと、素敵だ。
そう思った時に、僕はふと彼女の着ているドレスに目が停まった。



「ファビエンヌ…このドレス、ずいぶんとくたびれてるね…」

僕は彼女に新しいドレスを着せてあげたいと思った。
だけど、僕にそんなものが作れるだろうか…
古着屋かどこかで買おうか…だけど、僕はほとんどお金をもらっていない。
今までは、お金を使う機会もめったになかったからそれで不自由も感じなかった。
何かほしいものがある時は、父さんに言ってお金をもらっていた。
でも、彼女の新しいドレスが欲しいなんてことは言えないから、何か口実を考えないと…




(……そういえば…)



僕はふと部屋の中を見渡した。



(ここももう少しなんとかしてあげなきゃいけないな。
……そうだ、今から掃除をしよう。)



「ファビエンヌ、気付かなくてごめんね。
ちょっと待ってて。」



僕は、その晩一晩かけて、部屋の中を出来る限り綺麗に掃除して磨き上げた。
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