それでも君を愛せて良かった




(きっと、喜んでくれるよね…)



父さんが眠りに就いたのを確認すると、僕はいつものようにファビエンヌの部屋へ向かった。
ポケットの中には、町で買った口紅をそっと隠して…



「ファビエンヌ…遅くなってごめんね。」

僕は、身をかがめてファビエンヌの髪をなで、彼女の向かい側に腰を降ろした。



「今朝話した通り、今日は隣町に行って来たんだ。」

僕は、彼女へのプレゼントの材料を買ったこと以外の出来事を話して聞かせた。



「それで、ね。
君に買って来たものがあるんだ。
なんだと思う?」

彼女は黙って僕の答えを待っていた。



「これだよ…」

僕は、ポケットから口紅を出して、ファビエンヌの前に差し出した。



「僕は男だから、なかなか細かい所に気付いてあげられなくてごめんね。
君の唇…きっと、以前はとっても綺麗だったんだろうね。
また、その時みたいに綺麗にしてあげるね…」

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