それでも君を愛せて良かった
(……母さんはまだこんなドレスを着れる程若いうちに亡くなったんだね…)



そんなことを考えると、母の短い人生が気の毒に思えた。
いや…本当に気の毒だったのは父さんの方かもしれない。
まだ小さかった僕と兄さんを抱え、再婚もしなかったんだから。
これからでも、良い人がみつかれば、父さんに幸せになって欲しいと思う。
でも、この町には父さんと釣り合う年齢の独身の女性はいないから、それは難しそうだ。
それに、こんなものを捨てずに置いてある所をみると、父さんは今でも一途に母さんのことを想っているのかもしれない。



(だとしたら…母さんは幸せ者だよね…)



僕は、心に温かいものを感じながら、母さんの服をそっと箱の中に戻した。
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