それでも君を愛せて良かった
「父さんは本当に何もわかっちゃいないんだな。
男と女の出会いなんてどこにでも転がっている。
好きな女が出来りゃ、どんなことをしたって会いにいくもんだ。」

「そんなこと…
まさか、あのアベルに……」

「良いか、父さん。
昨夜、あいつは眠いって言って早くに部屋に戻った。
俺はあいつともっと話したかったんだけど、仕方がないから俺も部屋に戻って眠ったんだ。
だけど、夜中に目が覚めたんであいつの部屋に押しかけた。
そしたら、そこにあいつはいなかったんだ。
しばらく待っても戻って来ない。
こんな夜中にどこに行く?
俺は、庭を探したがあいつはいなかった。
家に戻ってふと地下室のことを思い出して、行ってみた。
そしたら、地下の物置きの奥の方から声が聞こえて来たんだ。」

「声…?」

「あぁ…アノ声がな…」

「ケイン!お、お、おまえはそんなことをして恥ずかしくないのか!」

「俺だってなにもずっと聞いてたわけじゃないさ。
アベルが女を引きずり込んでるってわかったから、すぐにその場を離れたさ。」

眉間に皺を寄せ、黙りこんでしまった父親を横目でみて、ケインは小さく肩を揺らした。



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