それでも君を愛せて良かった
「別にそんなことどうだって良いじゃないか。
父さん、あいつはもう二十歳なんだぜ。
俺は、この家を出るずっと前から遊んでたことを知ってるんだろ?
今のあいつよりもっと若い頃から…」

「……おまえとあいつは違う。」

低く吐き出されたその声に、ケインは口端を歪めた。



「……そう言うと思ったよ。
だから、俺はわざわざこうやって父さんに教えてやったんだ。
父さんがそんな風に決め付けてるから、あいつは彼女のことも秘密にしてるんだ。
もっとオープンにしてやれるように、父さんもあいつの見方を変えてやれよ。
ずっと良い子を続けさせたら、あいつが可哀想だぜ。」

「わ…私はなにもアベルに女性との交際を禁じているわけじゃない。」

「父さんには自覚がないだけさ。
あいつは父さんの望む良い子でいようとしてる。
だから、女のことも言えない。
……あいつをもっと自由にさせてやってくれ。
あいつも俺も変わりないんだって、わかってやってくれ。」

「そんなことはおまえに言われなくともわかってる!」

「……はいはい。
わかりましたよ。
俺はもう何も言わないよ。」

ケインは、肩をすくめ、そのまま作業場を後にした。
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