それでも君を愛せて良かった




「ファビエンヌ…ごめんね…
守ってあげられなくて、本当にごめん……」



僕には行く所なんてなかった。
お金もなければこんなことを話せる友達もいない。

裏山でずっと泣いて…
泣いて…泣いて……

このまま死んでしまおうかとも思ったけど、君をあの部屋に置いたまま…離れ離れのまま死んでしまうのは耐えられなかった。



だから、僕は戻って来た。
暗くなってからこっそりと家に戻った。



もしやもう片付けられてるんじゃないかと思ったけど、ファビエンヌはそのままだった。



(酷い………)



僕はずたずたに切り裂かれ、砕かれたファビエンヌの欠片を拾い集めた。
欠片を一つ拾う度に彼女に詫びながら…
彼女の欠片が僕の手を傷付け、赤い血を滴らせた。
だけど、彼女の流した血はこんなものじゃない。
僕には見える…この部屋に飛び散り広がった彼女の真っ赤な血の跡が…



(ごめんね…ファビエンヌ…
怖かっただろう?
痛かっただろう?
僕はなぜあの時動けなかったんだろう…
どうして、ファビエンヌを助けられなかったんだろう…)



拾い集めた欠片の中で、僕はまた涙にくれた…



どれほど泣いても…
どれほど悔やんでも…



壊れてしまったものは、もう元には戻らないのに…



それがわかっていても、僕にはそうすることしか出来なかったから…

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