それでも君を愛せて良かった




「アベル…一体、どこへ行ったんだ……」

アベルの行方はようとして知れず、一週間経ってもみつからないことに、キースは胸に大きな不安を募らせ、がっくりと肩を落とした。



「あいつは金も持ってないし、頼る友達もいないから遠くには行ってない筈だ。
だけど、これだけ探してもみつからないってことは、このあたりにはいないってことだ。
父さん…どこか思い当たる場所はないのかよ。
あいつが好きだった場所とか、なにか思い出の……」

「残念だが、思い当たるものはない…」

「なんだよ、あんた、それでも父親か!
アベルとはずっと一緒に暮らしてたんだろ!……あ……」

「……ケイン、どうかしたのか?」

「父さん…あの人形はあのままなんだな?」

「え?あ…あぁ、あそこにはあれ以来……
で…では、まさか、アベルはあそこに…!?」

「行ってみよう!」



ケインとキースは、地下のあの小部屋に向かって駆け出した。



「アベル…いるのか?」



キースは、静かに声をかけた。
しかし、地下はしんと静まり、人がいる気配はまるでなかった。
そのことが、二人の不安を余計にかき立てる。



「アベル…」



小さな扉を開き、ランプの明かりで照らし出された光景に、二人は息を飲んだ。




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