リアルラヴァーズ
突然の訪問者

 どうやら彼は、忙しい毎日が続いているようである。


 ただでさえ仕事上不規則で、人気もあって、大変そうだったのに……。
 ドラマの撮影が入ったため、いつも以上に会えない。


 蝉時雨を聴きながら、私は部屋でぼんやりと天井を見つめていた。

 何だか、彼は遠い存在になってしまったようだ。
 いや、元々遠い存在だったのだけれども。



 私は冷房を入れるタイプでは無いので、部屋の中はとても蒸し暑い。昨日はいくらか風があったものの、今日は無風。
 やっぱりクーラーを入れようかな? とは思うけど、結局入れないなんてしばしば。

 夏休みの宿題も少ししか手をつけていないが、結局は飽きて放置。
 友達から何かお誘いがあれば遊びに行くのだが、特に何もなし。

 ごろごろと布団の上で転がるしかない。

 けれども退屈なので、のそのそと立ち上がり本棚へ向かう。
 棚から読みたい本を何冊か選び、持てるだけもつと再度布団に横たわる。


 読んでると、いつの間にか時間は過ぎてしまう。
 ふと時計を見ると、午後の1時過ぎ。読み始めたのが午前10時頃だったので、3時間ほど経過したことになる。


 その間に一体、私は布団と本棚を何往復したのだろうか……。

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