上司がキス魔で困ります

 おいちょっと待て。待ってくれ。近すぎて息ができません。

 恥ずかしいやら恐ろしいやらで硬直する。


「俺で妥協したら?」


 音羽課長は、至極真面目な表情のまま頰を傾け顔をさらに近づけると、チュッと、触れるだけのキスをした。

 他の誰でもない私に。厳密に言えば私の唇に。

 頭がパーンだ。

 メーデーメーデー!
 今何が起こった!?

 経験値が圧倒的に足りない私の脳が解析不能と悲鳴を上げている。


「かっ、かっ、かちょうっ!?」
「提案した責任取れよ」
「はい!?」
「命令。春川くん。俺の彼女になりなさい」



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