上司がキス魔で困ります

 生きがいは仕事と特撮DVD、飼い猫のまめさんだけ。
 だっさい黒縁眼鏡で、肩につくくらいの黒髪で、中肉中背、彼氏いない歴イコール年齢の私が、仕事以外に口がきけるような男子ではないのだ。

 私は自分のことをちゃんとわかっている。
 だから勘違いなどしない。
 課長と私では釣り合わないと、声を大にして言える!


 ところが課長は、私の言葉を聞いて、何をどう思ったのか、とにかくわけのわからない行動に出た。


「春川くんはそんなに理想が高いのか」
「えっ?」
「俺じゃダメなのか」


 椅子に座ったままの課長が、足で地面を蹴って私に近づく。

 そして私の座る椅子のシートの部分を両手でつかみ、引き寄せた。


「ふええっ!?」


 変な声が出た。
 だっていつもは見上げる課長が同じ目線にいるから。


 超きれいなお顔が、至近距離に。


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