上司がキス魔で困ります
「だからめぐちゃんが好きになったんなら、本気なんだろうと俺は受け入れるしかない」
「蘭ちゃん……」
「でも向こうも同じ気持ちかな。会社の上司って言ってたよね。付き合ってこんなすぐに部屋に来ちゃう? めぐちゃんはピュアだから深く考えてないのかもだけど、いくらなんでもペースが早すぎる。めぐちゃんの人となりを知っていたらもっとゆっくり進めるよ」
蘭ちゃんは頭ごなしに否定するでもなく、私がなんとなく不安に思っているところに先回りして、痛いところをついてきて、私の言葉を奪ってしまう。
「めぐちゃん」
そして清く正しく美しい正装姿の蘭ちゃんは、反論できずにうつむく私の顔を上げさせ、まっすぐに目を覗き込んでくる。
「こういう言い方したくないけど、あの男はめぐちゃんが思うほど本気だとは思えないな」
兄の言葉に鼻の奥がつんと痛くなる。
「蘭ちゃん、わかってるよ、わかってるけど、でもっ……」