上司がキス魔で困ります

「蘭ちゃん……」
「好きになりましたからフィンランドに連れて行きますってね。そんな勝手な話ないよ。付き合って何年もたつならまだしも、まだ一ヶ月かそこらでしょ。お互い舞い上がってるようにしか思えないよ。それに仕事はどうするの。ずっと続けていきたいって言ってたじゃない。それ全部放り出しちゃっていいの」


 蘭ちゃんの真っ当な言葉は、グサリグサリと私のハートを突き刺していく。


「俺も、多分お父さんとお母さんだって、許さないよ。ものには順序があるんだ。人を納得させたいなら、自分の力でみんなを説得しなさい」


 ビシッと言われて、涙がポロリと零れた。


「……」


 蘭ちゃんはそんな私を見て一瞬息をのんだけれど、そのままリビングを出て行ってしまった。


 ほんと、ぐうの音もでなかった。
 蘭ちゃんの言う通りだ。



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