上司がキス魔で困ります

「俺も似たようなことを考えてた」
「えっ?」
「立場は逆だが。向こうで誰よりも成果を上げて、早く帰れるようにしようって考えた」
「良悟さん……」


 早朝の爽やかな光がオフィスに差し込む。

 キラキラと輝く良悟さんが、真摯なまなざしで私を見つめた。


「めぐ。君を見ていると俺は、どこまででも強くなれるような気がする」


 それは私も同じ気持ちだった。

 良悟さんがいるから、きっと私はこんなふうに今まで考えたことがないようなことを思いつくし、エネルギーが湧いてくるんだ。

 じんわりと胸が温かいもので満たされる。


「良悟さん、これからよろしくお願いします」
「こちらこそ、よろしく頼む」


 ここ、オフィスだけど。本当はこんなのいけないことだけど……。

 私の頬に手を乗せ、顔を近づけてくる良悟さんを、拒むことなどできなかった。


 そして柔らかなキスに、涙が溢れる。

 だけどこれは悲しいんじゃない。
 良悟さんとの未来に、希望があるからだ。

 そして私たちはきつく抱き合う。

 お互いから勇気がもらえるようにと、強く。強く。





【天下一のシスコン 春川蘭の逆襲】完結




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