上司がキス魔で困ります

 フィンランド駐在は一人じゃない。向こうで現地の人含めて五人のチームを作っているので、日本からは三人の社員が派遣されているのだ。

 今回良悟さんが選ばれて、引き継ぎが終わったら、誰かが戻ってくる。そうやって三人の席をこの【MERI】本社社員で回しているのだ。


 この三年、良悟さんが私を諦めずに待っていてくれたのだから、今度は私が頑張る番だ。

 おそらく最初の数年は遠距離恋愛だ。仕事死ぬほど頑張りながら遠距離恋愛できるのか、わからない。そもそもフィンランド駐在に選ばれるかどうかもわからない。

 だけど私はそれを目指す。そう決めた。


「待っていて、くれますか」
「……めぐ」


 良悟さんはなんだか眩しそうに目を細めて、泣きそうな、笑い出しそうな、そんな複雑な表情をした。

 そして良悟さんは私の両手をうやうやしくとって、手元に運び、指先にキスをする。



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