上司がキス魔で困ります

「ごめん、蘭ちゃん。土曜日は先約があるんだ」
「そうなの? じゃあまた来週にしよう」
「うん、ごめんね」


 これ以上突っ込まれるのを恐れて、そそくさとバスルームへと向かう。


 蘭ちゃんはものすごく勘が鋭い。というかそもそも頭がいい。

 彼は国家公務員Ⅰ種試験の合格者から幹部候補生として警察庁が採用したエリート、キャリア組なのだ。


 ちなみにキャリアというのは毎年十名ほどしか採用されない超難関。将来の長官、警視総監候補である。(蘭ちゃんがそうなるとは想像つかないけど。)


 そして蘭ちゃんは、警部補から警部、警視と順当に昇進し、二十七歳にして所轄の警察署長さんである。


 制服姿の蘭ちゃんはたびたびマスコミに取り上げられているので、制服マニアに熱狂的なファンもいるとかいないとか。

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