上司がキス魔で困ります

「じゃあまず手だけだ。それならいいだろう」


 硬直する私への妥協案なのか、音羽課長が手を伸ばしてきた。

 手だけ?
 なら、膝に乗るよりはなんとか……。


「……はい」


 ドキドキしながら彼の掌の上に手を乗せると、そのままやんわりと握りしめられた。

 ひんやりして大きな手。指がほっそりと長くて、きれいだ。

 本物の美形は体のどこを取ってもブスなパーツとかないんだなぁ……なんて思っていたら、そのまま腕がゆっくりと引き寄せられる。
 みるみるうちに課長との距離が近くなっていった。


「あ、あれ?」


 次の瞬間には、課長のもう一方の手が、私の腰に回っていた。


「捕まえた」



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