ゆいちゃんと孤独
ゆいちゃんと孤独




ゆいちゃんは小さな可愛らしい女の子です。
笑顔が可愛いねと、誰もが口を揃えて言います。

でも、ゆいちゃんは今、笑える気分ではありません。


ゆいちゃんは今、一人で自分の部屋にいます。
理由は簡単です。
〝独りぼっち〟だからです。


クラスのお友達は、ゆいちゃんを嫌いました。
ゆいちゃんが馬鹿だからです。

みんなでテレビの話をしていると、いつもゆいちゃんは話に割り込んできます。
「私もその番組観ているよ」じゃなくて、ゆいちゃんは「どんな番組?」とみんなに問います。
みんなは優しく教えてあげます。
でも、ゆいちゃんは人の話を理解することが苦手です。
言葉がいまいち分かりません。
だから、みんなの言っていることが分からず、何度も同じことを聞き返します。
みんな、段々相手をするのが面倒臭くなってきて、「もう聞くな」とゆいちゃんを突き放します。
ゆいちゃんは言葉がよく分かりません。だから、それでも何度も聞きました。
みんな、無知なゆいちゃんを嫌いました。

授業で、ゆいちゃんはよく手を挙げます。
でも、いつも正解しません。
馬鹿だから、答えが分かりません。
それでも、ゆいちゃんは手を挙げます。
でも、先生はゆいちゃんが分かっていないことを知っているから、ゆいちゃんを当てません。
そしてこの前、「もう手を挙げるな」とゆいちゃんを叱りました。

全部、ゆいちゃんが馬鹿だから起こったことでした。



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