パンプスとスニーカー
 「いやいやいや、それはいいって」




 お坊ちゃまは気楽に言ってくれるが、彼氏だからと言って、あれこれ人に物を買ってもらうのはひまりの流儀ではない。


 …クリスマスや誕生日じゃないんだから。


 そんな彼女の気持ちを読んだかのように、




 「あれ?そういえば、ひまって誕生日いつ?」

 「え?あ…4月」 

 「え~、マジ?」

 「う、うん?」




 意外な反応。




 「4月のいつ?」

 「10日だけど」

 「ええっ、そうなんだ!?」




 目を見開いて驚いている。


 不審なくらいの驚きようだ。


 内心で首を傾げつつ、




 「武尊は?」

 「………3月」

 「えっ!?」

 「3月25日」




 もうすぐだというのはともかくとして、




 「そっかぁ…なにげに、ひまと俺って同学年だけど、ほとんど1才違い…現役だよね?」

 「うん。武尊もでしょ?」

 「だね」




 2才、3才とは違わないようだが、ひまりもさすがに驚く。




 「…はは、たぶん他人はそうは見ないだろうな」

 「そうかも」




 童顔なのをコンプレックスに思ったことはないが、人一倍大人っぽい武尊よりも年上だというのはひまりの方も驚いた。




 「…さて、シャワーでも浴びて、もう寝るか」




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