パンプスとスニーカー
「え?…あ、あの…」
拒まれることに武尊は慣れていなかったから、こんな時にはどういう態度でいればいいのかよくわからない。
しかし、ひまりはひまりで、今の状況に困っているのだろう、言葉を選んで口ごもってしまっていた。
「…今度こそ、もう寝よ。それぞれの部屋でね」
「武尊」
情けない顔をしているに違いない顔を片手で一撫でし、気力で何食わぬ顔を装って小さく笑いソファから立ち上がる。
「ひまは気にしないで。つい調子に乗って、理性緩んじゃっただけだからさ。今度こそ、ちゃんと轡を引き締めたよ。…夜這いしたりするほどトチ狂っちゃいないから、そこは安心して?」
どうしても早口になってしまう自分が情けない。
これまでの経験はいったいなんだったんだと、自分で自分を嘲笑いたくなってしまう。
顔が好みだったから、気の利いた会話が楽しかったから、サバけた性格が気楽だったから、そんな些細でつまらない理由で腫れた惚れたとすぐにカラダの関係になって、面倒になったら別れる。
そんな軽薄さの繰り返しを恋愛遍歴だと自負していたなんて。
よく巷で言う、本気で好きになった子には簡単に手を出せないとかいう俗説を鼻で笑っていたというのに。
…マジに怖いもんなんだな。
拒まれることに武尊は慣れていなかったから、こんな時にはどういう態度でいればいいのかよくわからない。
しかし、ひまりはひまりで、今の状況に困っているのだろう、言葉を選んで口ごもってしまっていた。
「…今度こそ、もう寝よ。それぞれの部屋でね」
「武尊」
情けない顔をしているに違いない顔を片手で一撫でし、気力で何食わぬ顔を装って小さく笑いソファから立ち上がる。
「ひまは気にしないで。つい調子に乗って、理性緩んじゃっただけだからさ。今度こそ、ちゃんと轡を引き締めたよ。…夜這いしたりするほどトチ狂っちゃいないから、そこは安心して?」
どうしても早口になってしまう自分が情けない。
これまでの経験はいったいなんだったんだと、自分で自分を嘲笑いたくなってしまう。
顔が好みだったから、気の利いた会話が楽しかったから、サバけた性格が気楽だったから、そんな些細でつまらない理由で腫れた惚れたとすぐにカラダの関係になって、面倒になったら別れる。
そんな軽薄さの繰り返しを恋愛遍歴だと自負していたなんて。
よく巷で言う、本気で好きになった子には簡単に手を出せないとかいう俗説を鼻で笑っていたというのに。
…マジに怖いもんなんだな。