パンプスとスニーカー
 赤くなってしまった顔を両手で抑えて、項垂れる。




 「あんまり恋愛経験なさそうだとは思ったけど、けっこう奥手?」
 
 「…かも?」




 いいな、と思う子もいないわけではなかったけれど、恋に発展するまでいかなかった。


 …別に高望みしてるわけじゃないんだけど。


 ただ恋をするより、夢を追う方が優先、その夢を父親に反対されて、意地を張ることで精一杯だったように思う。




 「マツと付き合う?」

 「うーん」




 松田のことは、もちろん嫌いではない。


 友人として、イイ人だとは思う。


 けれど、これまで正直、まったくそういう対象として見てみたことがなかっただけに、いきなりそんなことを言われても困惑するばかりだ。


 それに…、




 「本人から聞いたわけじゃないし」

 「まあ、そうだね。でも、これあたしの穿すぎじゃないから。あいつ、真面目すぎるくらいに真面目な奴だし、一途っていうか思いつめるタチだよね?だからさ、もしマツの申し出を受けるつもりなら、嫁になる覚悟が必要かもよ?」

 「…………」




*****





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