パンプスとスニーカー
 「よっ、間男!」

 「………それ、今シャレになんないからやめろよ」




 いつもながらの壮太の悪ふざけだが、他の学生が興味津々で見てゆくような往来で言われたい呼称ではない。


 今の状況下では、教室から出てすぐに出くわしての第一声に殺意さえ覚えた。




 「なんだよ、ずいぶんご機嫌斜めじゃねぇ?本当のことだろ?」

 「ふざけろ」

 「さては、こってり、ばあさまたちに絞られたな」




 ふざけて肩を組んでくる壮太の腕を邪険に振り落として、武尊は歩き出した。




 「で?何があったわけ?」




 軽く周囲に視線を走らせ、一応は他人の目を慮って声を潜める。


 壁に耳あり障子に目あり、だ。


 どこで足をすくわれることになるか、わかりはしない。


 多少疑心暗鬼になっているところはあったものの、場合よっては探偵の一人も雇われている可能性もなきにあらずで、用心に越したことはないだろう。




 「例の女が、うちに写真送りつけてきやがった」





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