パンプスとスニーカー
 申し訳なさそうな顔に、ひまりも沢の言外に言いたいことを察する。




 「あ、うん、大丈夫」

 「親戚が帰ったら、また来てもらって構わないから」

 「ありがとう、お願いするね」

 「ホントに大丈夫?沢んとこがダメな間は、またうちに来る?」

 「う~ん」




 美紀の好意はありがたい。


 が、




 「戸川さんも来週には帰ってくるし、泊めてくれるってメールくれたから」

 「まあ、いざとなったらマルちゃんとこも、数日くらいなら大丈夫なんじゃない?」

 「うん、アテにするのも悪いんだけど、そうしようかと思ってたところ」




 話しているうちに、どうやら転々とお世話になるカタチでも、なんとかなりそうだと胸を撫で下ろす。


 …このご恩は一生忘れられないな。


 本来なら親に頼るべきところを、友人だとはいえ赤の他人である美紀たちに世話になるのだ。


 快く受け入れてくれるその心根がありがたくも、嬉しい。




 「生活費は平気?」

 「少しくらいなら貸すよ?」




 それぞれに申し出てくれるのに、ひまりはニッコリと笑って首を横に振った。



 
 「ううん、ありがと。もうちょっとすれば、掛け持ちしてるバイトのお給料も出るし」




 ただ、問題は―――。


 お給料、銀行引き落としなんだよね。


 一難去って、また一難。


 まだまだ問題は山積みだった。




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