奥さんの身柄、確保!
「すみませんね、手当てまで…イテテ」

 右袖を肩から外し、直に見た切り傷は結構大きい。

「よくケガを…なさるんですか?」

 筋肉質の堅い身体には、見える範囲だけでも小さなキズが無数にある。

「イヤあ俺、突っ込んでくタイプなもんで……しかし、慣れてらっしゃる。やはり旦那さんもよく怪我を?」 

 私は静かに首を横に振る。

「………」

 彼も私も、それきり黙ってしまった。

「さっ、できました」
「ああ、ありがとう」

 彼が服を着直し、立ち上がる。

「じゃあ…そうだ。着てきた制服を…」

「ああ、お風呂場に脱いであったアレね。あ…」

 動きかけて、ピタリと止まる。

「ゴメン……お洗濯しちゃった」


 
 私は平謝りに謝って、彼に泊まっていくように頼んだ。

「イヤイヤ、悪いなあ、何から何まで」

 彼はしかし、満更でもなさそうに缶ビールを片手に寛いでいる。

 私といえば、滅多に使わない客間に蒲団を準備しながら、何しかソワソワと浮き立つ気分を隠せない。

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