奥さんの身柄、確保!
「あ、アナタも警察の人ならどこかで聞いたことあるんじゃないですか?
 私の…ダンナ様の亡くなった時のコト」

 彼は、ちょっと考えて“ああ…”と唸った。

「まあ…噂では。まさか、それで?」

 私は、プルプルと肩を震わせた。

「そ、そうようっ!あの人は…あの人は腹上死したのようっ、私の…目の前で!」
 
 お陰で、私にとって哀しすぎるお葬式は、微妙な雰囲気で終始した。

 彼の上司に至っては、
『まあ、奴も本望だろう。同時に天国にイッたわけだから。ハッハッハ』
という最低のお悔やみを言った。

そして私は…

「誰にも言わなかったけど…私が彼を殺してしまったんじゃないかって…。
私には死神が取り憑いてるから。
だから…
また誰かを好きになっても、きっとその人を…」  

 シクシクと、思わず泣いてしまった私。
 人には笑い話でも、私には悲劇でしかないのだ。
  

 と、彼の大きな堅い身体が、私をしっかりと包み込んだ。

「柿田さ…?」

 彼は、笑ってはいなかった。

「奥さ…いや、一花…」

 先程の、息もつかせぬキスを思い出し、身体の奥がじわりと疼く。
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