ゴミ少女【短編ホラー】
車でご案内しますと、ドアを開けると、

少女は、水沢雪菜(ユキナ)ですと名乗って、助手席に座った。



運転しながら、バレエを習ってましたかと聞くと、

目を輝かせて、わかりますか?!

小6の去年まで、クラシックバレエをやってました!

と頬を高揚させ、うれしそうに答える。



車内のこの狭い距離感が、より親密感をもたらすのを、俺は熟知していた…



気を許した雪菜は、本当は雑誌の読者モデルに2回応募して、

2回とも落選したんです…とつぶやく。



窓の外の風景が、街から郊外の住宅地に変わる。



彼女は、まだ雑誌モデルの話を夢中でしゃべり続けている。



俺は、適当に話を合わせながら、緑の木々の増えはじめた道路を、

ドライブウェイにつながる道へと走らせた。



すっかり山の景色が見えるようになったころ、

やっと雪菜は、辺りを見回した。



「遠いんですか?事務所は?」


「もうすぐです」



山のわき道へと、車を乗り入れる。



「ここは!?」



それには答えず、人の来ない薄暗い山中まで進んでエンジンを停めた。
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