探偵の彼に追跡されて…
壁際の棚に置かれた大きな青い狸の様な猫型ロボット、年齢を問わず人気のキャラクターの時を知らせる。

所長がセットしているのだ。……

『朝です。朝です。朝ですよ!……』

「いや…朝じゃないから…」と言って毎日その目覚まし時計を止める。

所長は定時になったら帰るように私の為にセットしてくれているのだが別に目覚まし時計じゃ無くても自分で時間を確認出来るし、何ならスマホをセットするけど…

まあ、所長の気持ちをありがたく思って何も言わないが…

一条さんはまだ居るけど私はやる事ないから帰っていいかな? 一応声だけ掛けとこ。

所長の部屋にノックしてドアを開ける。

「所長。時間なので帰りますが?」

「うん。お疲れ様。あっ美野里ちゃん良かったら食事に行かない?」

「一条さんもご一緒ですか?」

「いや、僕は帰るよ。今日みたいに早く帰れる時は帰って子供をお風呂に入れてやりたいからね」

ですよね… 愛妻家ですものね?
所長だって…

「じゃ私も失礼します。 所長もたまには…」

奥さんの元へ帰ってあげて下さい。と、言葉が続かなかった。

「ん? たまには、何?」

「何でも無いです。 お疲れ様でした。」




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