探偵の彼に追跡されて…
「美野里、出かけよう?」

ベランダで洗濯したシーツを干していると後ろから声がかかった。

「どこへ行くんですか?」

「買い物」

「買い物ですか?」

「そう。色々必要でしょ?」

「まぁ冷蔵庫は何も入ってないし調味料もありませんからね?お昼ご飯も何も作れませんけど、でも所長調味料買っても後使わなかったら勿体無いですよ?」

「こら! いま所長って言ったな?」

「あっ…急にはね…変えられないというか…」

「じゃー今度から所長って言ったらバッチューね!」

バッチューとはなんぞや? 初めて聞く言葉ですが?

「バッチューってなんですか?」

「罰として美野里が俺にキスするの」

は?なんですかそれ?
罰金ならぬバツでチューだからバッチューですか?
考え方が子供でしょ?

「食材もだけど美野里の身の回りの物いるでしょ? ほら、女の子の毎月使うものとか?」

「女の子が毎月使うもの?」

ん? 生理用品の事?…

「あのそれなら大丈夫です」

「ん? 終わったばかり?」

「いやそういう事ではなくてですね? 明日から仕事ですし今日は自宅に帰ります」

「仕事はここの方が都合いいでしょ? それに美野里の部屋なんにも無いじゃん!? よくあの部屋で生活してたね?」

うっ… それを言われると…

「…だって…またいつ引っ越す事になるか分からなかったから…必要最低限の物だけにしてたんですよ。引っ越すたびにする荷造りも大変でしたから」

「そうだね?美野里は俺にも頼らなかったからね、大変だったと思うよ。だからここならみんな揃ってるし不便はないと思うよ?」





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