夜まで待てない
現実を受け入れるのが怖くて




「私ね、大きくなったら羽月と結婚する!」


「じゃあ俺が優子をお嫁さんにしてやるよ!」


「本当?約束だよ?」


「約束だ!」


二人で指切りをして小さい頃に交わした約束。


そんな夢を見て目が覚めた。


何で今頃こんな夢をみたんだろう。
小さい頃に交わした約束、夢を見るまで忘れてた。


私はベッドから起き上がり時計を見ると朝の八時だった。


私はリビングに行き、冷蔵庫から水を取り出して飲んだ。


そう言えば羽月は何時に帰ったのかな?


そう思ってそっと羽月の部屋を覗いた。
だがベッドに羽月の姿はなく、帰ってきていなかった。


あの後、美波と付き合う事になったのかな。


そう思うとまた泣きそうになった。


すると玄関の扉が開いて、羽月が帰って来たのが分かった。


どんな顔をして会えば良いのかわからない。


「優子、ただいま!起きてたんだな?
仕事だって言って帰ったみたいだけど何も言わずに居なくなってるしな。」


「急いでたからさ…シャワー浴びて寝たら?」


「シャワーは浴びたからいいや!着替えたら寝るよ。」


「……そう。オヤスミ。」


「オヤスミ」


そう言って羽月は部屋に入っていった。


シャワーを浴びたって事はやっぱ美波と一緒に居てホテルに泊まったって事なのかな…


それならそうと言ってくれたらいいのに。


私に好きだと言ったから美波と付き合う事になったから言えないとか?


でも考えてみたら私は最初から羽月とは付き合うつもりもなかったもんね。


自分が望んだ通になっただけ。





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