ティアラ
「美和? 今、あんたが言ってるとこの近くにいるはずなんだけど、目印になるものある? あたしたち、この辺、全然わからないのよ」

直子たちは息を切らしながら、走っているようだった。

「家。電柱。……あ、さっき散髪屋の前も通った」

森本の顔から目を離すこともできないあたしは、ひたすら思い浮かんだ言葉を口にする。

「はぁ!? それだけじゃわかんないよ!!」

こんな状況になっていることを知らない直子は、呆れた声で詳しいことを聞こうとしてくる。

一歩一歩、ゆっくり近づいてくる森本。

手にした写真を見つめながら、かすれた声で笑っている。

「てかさ、やばい!! そいつが今ここにいるんだけど!! 恐いんだけど!! マジで恐いんだけど!!」

後ずさりするあたしは、パニックになって叫んだ。
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