ティアラ
「……あたしが何したって言うのよ?」

水筒を持つ手に力を入れて、口を尖らせる。

……今までたくさん罠を仕掛けてきたけれど、それに引っかかってイライラしているときの彼は、あそこまで冷血な目をしていなかった。

あたしが負けたときは憎たらしい態度で笑ってたし、一緒にご飯を食べてるときだって、あそこまで嫌な顔はしていなかった。

今までためていた怒りが爆発した、とでも言うのだろうか?

「……むかつく」

頬をふくらませるあたしは、ブツブツつぶやきながら家へ向かう。

帰宅してもその日はなかなか眠れず、あたしは態度を急変させた彼のことばかり気にしていた。
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