ティアラ
時間が止まったかのように、体が凍りつく。

硬直したあたしは、遠ざかっていく彼の姿を黙って見つめていた。


「どうしたの?」と自分に問いかける。

冷たくされるのは今日が初めて、ってわけではない。

今までだってたくさん皮肉を言われてきたし、無愛想な態度もいっぱい見てきた。

だから、こんなふうに睨まれても、別にどうってことない。

……なのに、何なのだろう、この胸騒ぎは。

急に不機嫌になった、彼。

最後に見たあの表情は、迷惑がっているというより、あたしのことを全身で拒絶しているようだった。

多分、キュウリとカボチャが原因ではないと思う。

だけど、そこまで怒らせるような発言をした覚えはないし、今日の作戦だって……いつもと比べれば可愛らしいものだ。
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