ティアラ
「みんな出かけるなんて珍しいね」

日曜日はいつも、絶対、誰かは家にいるのに……。

枕に顔を埋めてそうつぶやいたとき、美空はドアノブに手をかけたまま、口を開いた。

「お姉ちゃんに気を遣ってるんだよ」

「……どういうこと?」

言ってることの意味がわからなくて、あたしは体をひねりながら振り向く。

「失恋したんじゃないの? みんな、そう思ってるよ」

美空はその言葉の後に「お姉ちゃんが仮病を使っていることにも気付いているし」と付け足した。
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