ティアラ
――「何かあるの?」
――「ない」

ファミレスでの、篤紀のぎこちなかった態度が、頭の中をよぎる。

「あ、もう行かなきゃ。じゃあ、また!」

チャイムが鳴り、天井に目を向けた美緒ちゃんは、ブンブンと手を振りながら、教室へと走っていく。

「あたしたちも行こ」と階段を上がる、直子。

後をついていくあたしは、ハガキが折れるほど、手に力が入っていた。

考えすぎているだけなのかもしれない。

でも、あのときの篤紀は絶対に変だった。

どう考えても、弥生ちゃんの誕生日とかぶったから、だと思う。

「……」

教室に入ったあたしは、後からきた担任の話なんかまったく聞いてなくて、モヤモヤした気持ちをずっと抱えていた。
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