ティアラ
昨日はちゃんと家に帰れたのか。

眼鏡を取られて、悔しがっていなかったか。

困っている深町のことを聞きたくて、弥生ちゃんのところまできたのに、どうやら深町は眼鏡がなくても不自由していないらしい。

「残念だったな」

そばにいた太一は、白い歯を見せてニカニカ笑う。

一体、どっちの味方なんだ、こいつは。

「眼鏡のレンズを見て、どれくらいの度が入っているとかわからなかったの?」

冷静な口調で、直子もつっこんでくる。

……そんなの見てるわけないじゃん。

普通に、眼鏡イコール視力が弱い、と判断するだけでしょ。

くそぉ、自転車に乗るのも困っていて、もしかしたら怪我とかしたんじゃないかなって期待したあたしが馬鹿だった。
< 94 / 555 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop