可愛くなんて、なれない!
「大丈夫だよマーヤ。薄い布団かけてあげとけば。」
星ちゃんがお部屋から持ってきてくれた。

「星ちゃん、ありがとう。」
慎ちゃんに掛けてあげる。

「マーヤ、可愛いパジャマだね。似合ってるよ。」
星ちゃんが言ってくれたけど。

「ありがとう、お世辞言ってくれて。」
ちゃんと分はわきまえている。

その言葉は身内の欲目だ。

「昔からマーヤは、自分を分かってないよな~。」
伊織くんが言うけど。

いやいや、これでもかってくらい分かってますよ。

美形な家族に囲まれて、なぜか平凡な顔立ちに。

背は高いけど、残念なスタイル。

可愛げのない性格。

ダメだ、自分だって、こんなの彼女にしたくないし、まして妻なんてとんでもない話だ。

今からキッチリ老後に向けて、お金を貯めておかないと……。

「久しぶりにマーヤも飲んだら?」
伊織くんに言われたけど……。

「だって、お酒あんまり飲むなって言うじゃん!」
と、ぷくーっとホッペをふくらます。





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