あなたに恋をしたらダメですか?
「咲世…」


その時、お姉ちゃんの声がした。あー、多分さっきの反省してるんだ。


お姉ちゃんの声が、いつもより元気がなかったから。


「お姉ちゃん」
「咲世!」


私が部屋を出ると、お姉ちゃんが私に抱きついてきた。


「さっきはごめんね。ともくんと喧嘩なんかしてる場合じゃなかったのに…」
「咲世ちゃん、ごめん。俺も反省してます…」


その後ろには智明さんもいて、二人とも元気がないように見えた。


「もういいよっ、それより私なら大丈夫だから!一回ヘコんだだけだもん、やれるだけのことはする!」
「咲世…。うん、お姉ちゃん応援するよ。咲世の恋、叶えよう!」
「うん!」


やれるだけのことはしてみよう。奇跡が起きるかもしれない。


陽悟さんが人を好きになれないのなら、ただ隣に…それだけでも私は幸せだ。


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