あなたに恋をしたらダメですか?
*ドライブデートで失態を犯しました
「ただいま」
「咲世!おかえり!どうだっ、た…って、咲世…」
「お姉ちゃんっ、私もう、ダメだっ、」


陽悟さんと別れてから、ここまでは涙を堪えていたのに、お姉ちゃんの顔を見た途端、涙が溢れてきて思わず抱きついた。


「咲世ちゃん!何された!俺が、」
「ちょっと、ともくんは黙ってて!」
「は?だって吏世!咲世ちゃんが、泣いてんだぞ!」
「だから、それを今聞こうとしてるんじゃない!」


って、泣いてる場合じゃなくなってきたよ…。まさか私のことで二人が喧嘩になるなんて、思わなかった…。


「あのっ、お姉ちゃんも智明さんも、私は大丈夫だから。二人が喧嘩なんて、私嫌だよ」
「咲世、ごめっ」
「咲世ちゃん……」
「私、部屋に行くね。二人は、早く仲直りしてね」


それだけ伝えると、私は二人をそのままに、部屋へと戻った。


「はぁ……」とため息を吐き、鞄を床に置いた。そして、ベッドに転がった。


陽悟さんのこと、こんなに大好きなのに、特別になりたいのに。


あんなこと言われたら…。で、でも。あのヒロインの子だって、何度も何度もアタックしてた。


そうだよ、たった一回で落ちるなんて、ダメだよ。特別になるんだから…!


< 63 / 122 >

この作品をシェア

pagetop