第二部 母と妻と女の狭間で・・・ 留学時代編
 我に返ると、窓の外は真っ暗で、今まで
の感動的な景色から、私の心の中にある
ほんの少しの罪悪感を見透かしたかの
ような、漆黒の闇が広がっていた。

 急に、その漆黒の闇に飲み込まれそうな
怖さを感じて、後ろを振り返ると、そこに
あさひが素敵な笑顔で立っていた。

「びっくりした!」

 私がそう言うと、あさひは、私をそっと
自分に引き寄せ、まるで私の恐怖を察して、
それを振り払うかの様にふわりと優しく
抱きしめてくれた。

 私は、それまで感じていた心の闇への
恐怖が、あさひのハグで、まるで真っ黒な
霧が、優しいそよ風に「そっ」と押されて
消えていくような、やわらかな暖かさを
感じた。

「綺麗だったね」

 あさひの一言が、心に染みる。
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