第二部 母と妻と女の狭間で・・・ 留学時代編
 私が気持ちよく寝てると、急に頬が冷たく
なった。
 薄く目を開けると、あさひがにこやかに
オレンジを持っていた。

 「早く起きないと。学校だよ」

そう言った。

 学校の授業は8時からで、いくら
あさひのアパートが近いと行っても、
学校までは7~8分。

 いつもあさひは、7時半前にはアパート
出てるって行ってた。

 でも、昨日は結局、4時近くまで一人で
飲んでたから、とてもこれから学校に
行く気分じゃなくて、思わず、

「うるさいなー、もう少し寝かせてよ!」

そう言い放った。

 私は、寝起きが悪くて、いつも人に
起こされるとイラッとする。

 それが、悪い癖だって知ってはいるけど、
だからって、そんなに簡単に治るわけない
もん。

 あさひは、私の一言を聞くと、それ以上
しつこく起こすことはしないで、そのまま
部屋を出て行った。

 そして、それからうとうとと、真っ白
な夢で、気持よくまどろんでいると、
どこか遠くで、玄関の扉が閉まる音が、
聞こえた気がした。

 あさひの部屋は、1階の南向きで、朝は
やわらかな陽だまりの中で、ゆらゆら寝て
いると、本当に気もちが良い。

 そんな、至福の時間に浸っていると、
突然玄関のドアが激しくノックされた。
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