対象外でも恋咲く
瞳は『春子の部屋』を出て、家に帰るまで占い師の言葉を考えていた。

近々恋をする……その相手は年下……。

年上の落ち着いた男性を好む瞳にとって、年下の男は恋愛対象外で、今まで意識して見たことがなかった。

しかし、年下に恋をする?

その男は同じところで働いていると言った占い師の言葉を思い出して、営業1課にいる年下の男を一人一人思い出すが、誰一人としてピンとくるものはなかった。


遠くに見える瞳の後姿を見ていた占い師は怪しげに微笑んで、外に出していた看板をしまう。

白ふくろうが戻ってきた占い師を見て、「ホー」と鳴く。

夕方4時から開店している『春子の部屋』は1日の客を4人までと決めていた。

弘人は今日の2番目の客で一番目は友達関係に悩む女子高生だった。


「今日もいい一日だったわね」


白ふくろうに話し掛けながら、テーブルの上を片付ける。


「ホー、ホー」と白ふくろうが返事をするかのように鳴いた。

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