対象外でも恋咲く
苦手な年下でも
総合電機メーカー本社ビルの4階に営業部がある。

営業部は営業1課、営業2課、企画課に分かれていて、全部が4階のワンフロアに入っている。それぞれの課を区切るために一応パーテーションが置かれてはいるが、高さは低いので、どこにいても全体を見渡せる。


月曜の朝、出勤した瞳はノートパソコンに貼ってあった付箋をはがす。『ご確認ください』という文字の下に『ありがとう』の文字が書かれていた。

上の文字は瞳が金曜日の夜に書いたものだが、下の文字は課長の筆跡だった。頼まれた資料を揃えてクリアーファイルに入れ、さらに会社の封筒に入れた。

そして、表に付箋をペタっと貼り付けた、

それを土日に受取りに来たのか、今朝早くに受取りに来たのかは分からないが、瞳ははがした付箋をノートに貼った。

瞳はたまに気に入った付箋をこうやってコッソリと貼っておいていた。それらの付箋は自分よりも年上の者からのに限定されていたが。

パソコンを立ち上げながらデスク上にあったもう1つの付箋をはがす。
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