対象外でも恋咲く
でも、誰でも良いわけではない。あのラーメン屋の味を知る人がいいと思って瞳を誘ったのだった。

それが例えば、瞳ではなくて他の人でも誘ったであろう。だから、特別な意味を込めていない。

瞳もそういう弘人の思いは分かっていたので、ドキドキしてしまった自分を戒めるかのように軽く右頬を叩く。そして、年下に目を向けないように電話中の主任へとコッソリと熱い視線を向けた。

主任は瞳の視線に気付いて目を合わせ、話ながらも軽く微笑む。その微笑みに瞳は弘人のときよりも心臓の動きを早くした。

カッコいい……やっぱり年下よりも年上のほうがいい。


「高畠さん。ちょっとお願いしてもいいかな?」


電話を終えた主任は瞳を手招きする。瞳は「はい!」と声を弾ませて返事をして、主任のデスクへと向かう。

5分後、瞳は資料室にいた。主任に2年前のカタログを持ってきて欲しいと頼まれたからだ。


「あれ? 高畠さん、ここにいたんですね」


すぐに見つかったカタログを手にした瞳のもとに弘人が歩いていく。
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