次期社長の甘い求婚
再度顔を上げ周囲を見回すと、数メートル先にベンチが見えた。


最後の力を振り絞るように立ち上がり、フラフラになりながらもどうにかベンチに辿り着くと、倒れ込むように腰掛ける。


本当はこのままベンチに横たわりたいところだけど我慢し、背もたれに体重を預けた。


クラクラするなか目を開けると、ビルとビルの隙間から星空が覗いている。


なんてことない星だというのに、見上げていたら無性に泣きたくなった。


「あーもう最悪」


人生初の酔い潰れ。

おまけに失恋したからって飲めないお酒を飲んで……なんて。


いや、違うな。
最初から失恋していたじゃない。

それが決定的になっただけ。好きになった時から覚悟はできていた。


それなのになぜだろう。

さっきから視界がぼやけて仕方ない。

涙が溢れて止まらないよ――。


顔を下に向け涙を拭うも、次から次へと溢れていき、アスファルトの上を濡らしていく。


亜紀の言う通り、さっさと区切りをつけて諦めていればよかった。

一日、また一日が過ぎれば過ぎるほど、“好き”って気持ちは募るばかりだった。
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